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zoom RSS 焼入れに関するわかりやすいお話

<<   作成日時 : 2006/11/15 09:55   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 17 / トラックバック 0 / コメント 1

先日、あるメディアから楽しい焼入れの記事を見つけた。
私の参考になることも多いのでメモ代わりにここに記録しておくことにした。
著作権所有者のかたお目こぼしを、、。

焼き入れについて

刃物の熱処理を簡単に「焼き入れ」という事が多いが、
実際には焼き鈍し(焼鈍)から始まる一連の熱処理を行う。

焼き入れの前に、
ずに焼き鈍しをきちんと行う。

A1変態点(約730℃程度)以上に加熱すると、
ステンレス鋼などと同じオーステナイト組織に変わる。

この後、炉の中でゆっくりと(100℃/hr以下)冷却すると、
鋼材は、パーライトと呼ばれる軟らかい組織になって軟らかくなる。
これが焼き鈍しである。

焼き入れをするのだから
何も焼きなまさなくても良かろうと思いたくなるが、
焼き入れ前の焼きなましは、
しっかりと焼き入れをするためには必須な工程である。

前段階の加工つまりプレスとか、
鍛造などによって加工歪み、
加工硬化が起きているので、
焼き鈍しでこれを取り除くのである。

しっかりと焼き鈍しをしておかないと、
その後の焼き入れで目的通りの焼が入らない。

良く鈍した鋼材を再びA1変態点(約730℃程度)以上に加熱してオーステナイト層に戻し、
この状態から急冷すると、マルテンサイトと呼ばれる最も硬い組織になる。

この操作を狭い意味での「焼き入れ」と言う。

焼き入れに必要な急冷は0.16℃/秒以上で冷却することである。
ここの急冷は、必ずしも水に入れる水冷とは限らない。

実際には油冷却(油焼き入れ)、空冷、時には空中放置で冷却する場合もある。

昔の鍛治屋さんが行っていた様な
焼いた鉄を水の中にズブリと入れる水焼き入れは、
工業製品の多くの場合には行わない事が多い。

なお、どの様な方法を選ぶかは、
材質やサイズ、形状などに応じて選ばれる。

なお急冷するのはマルテンサイト変態点(約250℃)までで、
その後は徐冷すしないと焼き割れが生じる。

マルテンサイト組織は、硬度こそ高いが、極めて脆く、
このままでは刃物としては使えない。

そこで焼き戻しを行って、脆くなった鋼材に粘さを与える。

焼き戻しの言葉から、
焼き入れ状態から部分的に鈍った状態に戻す様な気がするが、
事実は全く違う。

焼き入れしてマルテンサイト組織になった鋼材を、
400℃、ないしは600℃まで加熱する事によって、
それぞれトルースタイト、ソルバイトと呼ばれる別の組織に変わる。

トルースタイトはマルテンサイトに比べてやや軟らかいが靱性(粘さ)があり、
ソルバイトは更に靱性がある。この適度な硬度と靱性が、刃物には大切なのである。


それでは「最初からこの温度に加熱して、
トールスタイトないしはソルバイト組織にすれば良いではないか」と思いそうだが、
これはできない。

これらの組織は、マルテンサイトからでないと変態しないのだ。

つまり、刃物鋼は

焼き鈍し→焼き入れ→焼き戻しの一連の工程を通して得られるのである。

なお、A1変態点まで加熱せず、
400〜600℃に加熱後空冷すると、
ベイナイト組織になり、それなりの硬さ(HRcで
40〜50程度)と粘さを備えた状態になる。
これをベイナイト焼き入れ(別名オーステンパ)と言うが、
硬度が足りないので、刃物用の熱処理には適さない。

焼き入れだけを行って焼き戻ししない状態は、硬さこそ硬いが、
脆い上に案外と摩耗性が低い。

そのためにどの様な場合でも
焼きっ放しで使う事は避けなければならない。

刃物用ではないが、ベアリングなどの特殊用途で、
硬さ維持のために400℃の通常の焼き戻しができない場合でも、
200℃の低温焼き戻しによって耐摩耗性を改善する。

更にそれもできない様な場合には、
せめて100℃のお湯戻しだけでも行えば、それなりの耐摩耗性改善は図られるそうである。


なお、焼き戻しの際に300℃で焼き戻すと、
却って脆い状態になる。

これを300℃脆性と呼ぶ。
300℃の焼き戻しは行ってはいけないものである。

付け加えれば、
それぞれの熱処理には必要な処理時間がある。

一番最初に行う焼き鈍しでも、材料の大きさによっても違うのだが、
必要な温度に必要な時間だけ保ち、
それを必要な時間をかけてゆっくりと冷却する必要がある。

仮に焼き戻しに8時間かかるとしたら1日に3回の処理ができる。
これを6時間に切り詰めると4回の製造ができて効率的になるのだが、
適切に焼き鈍しを行わないと、その後の焼き入れが正しく行えない。

熱処理とは正直なもので、
正しく行えば良質の刃物ができ、
いい加減な処理を行えばいい加減な刃物しかできないものなのである。

適切な材料を選んで、適切な熱処理を行う事。
それが良質の刃物を作る決め手である。

この様に金属は温度に対して敏感に反応するものなのである。
丁寧に焼き入れされた高価な包丁を
誤って高温の火にさらせば、本来の硬度は失われる事がある。

100℃の熱湯であってもこの中に包丁を入れて煮沸するようなことは避けるべきである。

金属組織目名の当て字
明治時代の学者は、国語力が高く、さまざまな漢字言葉を作り上げた。
以上に書いた金属組織名についても、当て字ではあるが漢字名称がある。
しかもその名称がこれらの金属を顕微鏡観察した状態を言い得ている所が面白い。

波来土(パーライト)
焼き鈍した鋼は、フェライト(純鉄Fe)とセメンタイト(炭化鉄Fe3C)が重なり合って
層状構造をしている。
この状態が浜辺の砂にできる波模様にそっくりである。


大州田(オーステナイト)
多分に宛字っぽいが、
金属組織面が広い田圃が区切られている様な形のイメージに近いからとも言われている。


麻留田(マルテンサイト)
マルテンサイト組織を顕微鏡で見ると、
麻の葉が並んでいる様な模様に見える。


吐粒州(トルースタイト)
マルテンサイト組織からセメンタイトの微粒子が析出した状態で、
「粒を吐き出した」とは案外と的を得ている当て字だ。


粗粒波(ソルバイト)
トールスタイトに比べて、セメンタイトの粒子が大きくなって、
「粗い粒」の状態になっている。


参考になることがあったらご自由にお持ち帰りください。 









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コメント(1件)

内 容 ニックネーム/日時
製鉄関連企業で働いております。
根っからの文系人間なもので、熱処理をする理由を尋ねても「鉄の組織がああだこうだ」と言われるばかりでなかなか理解出来ずに困っておりましたが、ある程度勉強をした上で本文を読ませていただいたところ、かなり納得できました。ありがとうございます。

随分前の記事にてご覧になっているか分かりませんが、コメントさせていただきました。
koka
2009/01/09 17:04

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